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date :2009年10月27日

「貧困率」という数字からはみえない暮らし・・・国保調査でみえてきた実態

政府が15.7%という「貧困率」をだしましたが、
数字だけで、ではどんな暮らしなのか、ということがわかりません。

門真国保調査員の方々からの感想が沢山よせられています。

ほんの一部ですが、具体的な暮らしがみえてきます。
以下紹介します。

★金魚と暮らす73歳の男性

10月24日、大阪社保協による門真市の「国保実態調査」に参加しました。
午前中にオリエンテーションがあり、午後から2人1組で調査に向かいました。
私たちが担当したのは、大阪府下で2番目の規模だという府営の門真団地の3つの棟でした。建物はかなり古く、5階建にも関わらずエレベーターはありません。事前説明では、この団地には低所得の単身高齢者や中国人の方が比較的多いとのことでした。

最初に尋ねたのはその棟の端の5階に住む73歳?の男性で、パジャマのまま玄関に現れ、調査のことをお願いすると、「まあ上がりや」と。遠慮なく部屋に上がると、布団が敷かれたままで、その脇を通り、テレビが置かれた6畳間のコタツに案内されました。その狭い部屋で座り方を工夫しながら、その方に質問票に沿って順次お尋ねしていきました。

その方は大阪市内で調理師をしていましたが、いろいろ複雑な事情があり、10数年前に奥さんと離婚したまま1人で暮らしてきたといいます。6年前に住むところが無くなり困っていたところ、駅前で演説していた市会議員に声をかけて相談し、ここの団地の抽選に応募し、当選して入居できたとのこと。

年金は月13万円ほどですが、介護保険と国保が合わせてほぼ1万円天引きされ、また家賃が1万円弱必要なため、残りは約11万円です。しかしこの方は、糖尿病や目の疾患などがあり、毎月の医療費自己負担が5~6万円必要で、これは生きていくためにやむを得ないとしていました。
残りは数万円です。

この方の1日の生活は、外に出るとお腹がすくし使うお金も無いため、できるだけ家の中で寝て暮らし、1日2食にしているとのこと。毎日午後1時頃に起き、パンと牛乳と卵を食べ、テレビと飼っている金魚を眺めて過ごします。夕方の7時になるとご飯(お米)を炊いて野菜などで簡単なおかずを作って夕食を済ませ、後はテレビを見て寝るのだそうです。

唯一の楽しみは、狭い部屋の中に大事そうに置いてある3つの小ぶりの水槽に泳いでいる見事な金魚を眺め、世話をすることで、部屋にかけてある月のカレンダーの2ヶ所に丸が記してありました。その2日間が金魚の水を替える日なのだそうです。この方は、既にこの暮らしが長く、いまさらどうにもできないが、「これ以上国保や介護保険などの保険料や一部負担が増えたら、とても生きていけなくなってしまう、それが心配だ」と繰り返していました。

★身の上話が止まらない74歳の女性

次に訪れたのは74歳?の女性で、狭い玄関で壁にもたれたまま、実に50分以上話を聞かせていただきました。彼女はかつて夫の暴力に悩まされ、2人の子どもを連れて幾度も住まいを替えましたが、その度に夫が探しあて、勤務先までお金を取りに押しかけてきたといいます。裁判所の手続きを経て離婚し、いまは独立した子どもと離れて1人でここに暮らしているとのことでした。

しかし、腰椎を痛め、また腕を痛めるなどで全身が疼き、病院でリハビリなどを受け、薬を飲んでしのいでいます。先日も入院し、その時は息子さんと娘さんが世話をしてくれたとのことですが、この子どもさんも派遣の仕事で不安定で、それも心配だと言います。

彼女の収入は月約8万円の年金だけ。保険料と家賃を払い、かかっている近くの開業医と関西医大の医療費自己負担を払うと残りは僅かで、食費などを極力切り詰めて暮らしているそうです。そして、「今でもギリギリの生活で、国保の保険料が上がったり、医療費負担が増えたらどうしようもないです」と不安を訴えていました。

この方の希望は、近くで気軽に話し合える友達が欲しいということでした。毎日1人だけで悶々と暮らす日々で、できるなら同じようなことを話し合える友達と一緒に、たまに広く明るい公園などへ行きたいといいます。

★在宅酸素で生きる77歳の女性

次が77歳のおばあさんで、部屋の奥から長いビニールの管を付けたまま出て来られました。 

昔、結核で右肺を切除して、今は酸素の管を離せない状態だと言います。そんな状態なのでほとんど家の中で暮らしており、週に2回、ヘルパーさんが来て、スーパーへ買い物に行ってくれたりしています。

かなり以前に夫と死別し、子どもも無くずっと1人暮らしとのこと。収入は月8万円の年金(ご主人の遺族年金と本人の国民年金?)だけで、そこから介護保険と後期高齢者医療の保険料、家賃を引き、さらに医療費(酸素代月8000円、その電気代2000円なども加え)を支払うといくらも残らず、僅かな食費などで暮らしているとのことでした。

ここで調査の予定時間(午後4時に終了)を超えてしまい、これ以上お話を聞くことはできませんでした。

★老後に希望の無い国でいいのか・・

今回の調査では、3時間の持ち時間で、私たちの場合は9件を訪ね、4件が不在、1件が郵送で対応、1件が調査を遠慮され、結局お会いして調査できたのが上記の3件でした。3人ともじっくりと話を聞いていくと、自身の人生を語りだし、止まらなくなるようでした。何れも1人暮らしの孤独が痛いほど伝わってきました。

できれば、行政でも、またボランティア(定年退職して条件のある人など)でも、こうしたお年寄りを巡回訪問し、話し相手になってあげるような体制などができないものだろうか、と感じました。何れにしても、老後に安心がないこの国には、未来も希望も無いように思わざるを得ませんでした。

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うれしい今朝の毎日新聞記事

今朝の毎日新聞の24面「なにわ人模様」に
門真国保実態調査の実行委員としてがんばっていただいた
けいはん医療生協の矢野琴江さんがどーんと紹介されています。

20091027104521.jpg

なにわ人模様:門真国保実態調査実行委員会委員・矢野琴江さん /大阪 

◇声なき声を集めたい--矢野琴江さん(60)=門真市

◇「高いか」など32項目で聞き取り--国保料、総額の2割が未納

 「門真市の国民健康保険の保険料、高いじゃないですか。私たちね、それをあかんなと思って調査しているんですけれど、ちょっとお時間いいですか」。24、25の両日、門真市全域を戸別訪問して行われた「国保実態調査」。民間団体「大阪社会保障推進協議会」などで作る実行委員会のメンバーとして、今春の準備段階からかかわってきた。

 門真市は戦後の経済成長に伴って人口が急増した。しかし近年は「企業城下町」の性格が薄れて市の財政が悪化する一方、住民の高齢化が進む。国保料の収納率は約80%と全国最低レベルにあり、生活保護率が4・1%と府平均(2・6%)を大幅に上回っている。現場を一軒一軒回って数字に表れてこなかった実態を調べ、声無き声を集めたい--。調査はそんな思いがきっかけだった。

 本業は地元で認知症などの高齢者を受け入れる、小規模多機能ホーム「はすね」とグループホーム「みどり」の室長(責任者)。自身も介護福祉士やケアマネジャーの資格を持ち、6年ほど前から数多くの門真のお年寄りに接してきた。「それまでの生き方が、年をとってその人に出てくる。生き様に接することができるのがこの仕事の魅力」という。

 今回の調査にかける思いの原点も、お年寄りたちだ。「門真で感じるのは、住宅環境の劣悪さ。6畳一間で風呂のない、老朽化した文化住宅に住むお年寄りもいる。貧困で文化的な暮らしとはほど遠いまま老い、亡くなっていく」との危機感があった。

 調査には2日間で延べ470人のボランティアが参加。2、3人一組となり市内を人海戦術で戸別訪問し、協力が得られた775世帯から32項目を聞き取った。内容は、「お金がなくて病院に行くのをためらったことがあるか」「保険証を取り上げられたことあるか」「保険料が高いと思うか」など。

 単にデータを集めることだけが目的ではない。自身は50軒近く訪問して10軒から協力を得たが、お年寄りと接した豊富な経験を生かし、日ごろの悩みを聞き出すことも。調査自体が、困っている人に解決方法を提案する「実践的な調査」としての性格も持つ。

 「門真はよそから来た人の集まりで、誰でも受け入れてくれる。近所の人のことに無関心ではいられず、人に優しい街」だと思う。詳しい調査結果は、今年度中にまとまる予定だ。「今まで、お年寄りのことを知っているようで、個々が置かれた経済状況などは知らなかった。今回、自分の目で見たことを、施設の運営や行政への要望活動に生かしていきたい」と話す。【平野光芳】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回の調査、
現地のみなさんの頑張りたるや、ものすごいものがありました。
1日300人規模のとりくみをスムーズにうごかすためには、
眼にはみえませんが、
それまでの準備と当日の運営のために動いてくださった
とても多くの方々の力があったのです。

矢野さんはそのなかの一員で
日頃は小規模多機能施設やグループホームの管理者をされており、
こういう方たちが
地域の高齢者のいのちと暮らしをささえているのです。

今日のこの記事は
そんな方たちを励ます記事になっています。

25日に矢野さんに半日同行取材をしてかいてくれた平野記者、
ありがとうございました。

「役所が怖い」「不親切」の声、多いですよ

調査員の感想文にたくさんの市民の声が書かれています。

これが
「声なき声を代弁し、小さき声を大きくする」
ということだと思うのですが

その中に
「役所が怖い」
「相談しても親身になってくれない」
という声が多数あり
これが
「役所に行っても仕方ない」
「言ってもムダ」
となり、あきらめにつながっているのではないかと感じます。

市民はたった一度の体験でも
役所とはそういうところだと思い込みます。

これは役所にとっても大変不幸なことです。

全職員への徹底的な教育をおねがいします。

上から目線で市民を見ないで
「よく役所に来てくださいましたね」と声をかけ
「お困りのことはなんですか」と聞き出し
役所の様々な部署と連携して問題解決を図る。

役所だけでむりな場合も多々ありますから
地域のいろいろな組織、施設、ボランティアなどともつながることが必要です。
とくに団地での高齢者や単身男性の孤立化が際立ってますし、
中国籍の方々との関係が難しいという声もあります。

調査でいろんなことが見えてきそうです。

私たちがする調査は単なる学術調査ではないという所以です。

プロフィール

crecre

Author:crecre
大阪の社会保障のことなら何でもまかせて・・・といえるようになりたいと日々勉強勉強
大好きなものは・・・
着物、旅行、露天風呂、読書、映画、足つぼマッサージ、料理(なんでも作ります。特にパスタははっきりいって、そのへんのイタリアンには負けませんし、時間さえあればピザも生地から、餃子も皮からつくります。煮物も大得意です。最近パンも焼いています)
大好きな人たちとの楽しいおしゃべり+美味しいお料理。
表計算ソフトのエクセル・統計が大好きです。
大切なものは・・・もちろん2人の息子、そして三匹のにゃんず。
性格は・・・非常に前向き、後ろは殆ど振り向きません。

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