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フランス最大の労働組合FO「労働者の力」①高い理念と現実の苦悩

現在、フランス時間午前二時半。

相変わらず、こっちの時間になじんでいないけれど、
でも早く寝て、早く起きる(早いというか、夜中だけど)と、
頭がすっきりとするので、朝までの時間に
頭の中をまとめて記録ができるので、よしとしよう。

昨日9日の午前中は、
フランス最大の労働組合総同盟FO(労働者の力)を訪問。

ここで、社会保障部門担当のジャンマイクさんにお話をうかがう。

20101109労働組合FO

彼は社会保障部門の「社会保険」担当。
一昨日訪問した全国社会保険疾病金庫の労組代表であり、
家族手当金庫担当でもあり、
さらに社会保障の財源担当者でもある。

ということで、
まさに私たちが知りたいと思っている部分の直接の担当者の方であった。

まず、
フランスの労働組合組織率は低い、ということについて。

組織率は10%未満で8-9%くらいでしょう、とのこと。

そしてなぜこんなに組織率が低いのか、といことについては、
フランスでは、労働者の権利は労働法によって守られているが、
それは最低限の権利であり、
具体的には
セクターごとに労使協定がむすばれるのだが、
それは最終的に労組がサインをして決まる。
そしてその恩恵は労働者全員に行き渡るので、
わざわざ組合に入る必要はない、ということになる。
しかし、非協力的なことや邪魔をする、ということは一切ない。

北欧諸国の組合組織率は90%を超えるが、
これは組合に入っていないと
ソーシャル・セキュリティ(社会保障)の恩恵にあずかれないからだ。

フランスは共和国なので、
自分の存在を自由に認め、認めさせる、というのが基本理念。
「自由選択」「自由意思」をもっとも尊重する国。

低い組織率の問題は、あることはある。
それは組合費収入が少ないために、組織費用が少なく、活動に支障がでること。

しかし、組織率が低い、ということは、
組合員一人ひとりは非常に積極的に活動しており、
組合のために働く人をみつけることはたやすい。
私たちはそういう人をミリタリー(闘士)と呼ぶ。

フランスでのセキュリティ・ソーシャルのイメージは「医療保険」。
フランスの社会保障は1945年終戦の年に生まれた。
戦時下のレジスタンス活動を全戸くに広げよう、と考えていた。
すでに部分的に、また地域的に、職業的に、社会保障的な制度があり、
それを全国的に、全国民的に広げようと決定された。

フランスの社会保障理念は

みんなの収入によって、
富める人は沢山出し、貧しい人はそれなりに、持たざる人は出さずに、
必要であれば必要なだけ、
連帯と平等の精神

という3つの理念のもとつくられた。

この3つの理念は死守しなければならない、と考える。
ただ、このの3つを守るための欠点は、
「コストがかかる」ということ。

フランスのこのソーシャル・セキュリティの財政規模は3兆ユーロで
国家予算より大きい。
(現時点で1ユーロは120円ほど・・・ということは360兆円!?)

収支は赤字だが、バランスをとろうと必死でやってきたが、
リーマンショック以来、大赤字となっている。
しかし、累積赤字は国家の赤字より少ない。

財源は使用者と被用者(労働者)の拠出金。
被用者は拠出金(保険料)と呼ぶが、
使用者はチャージ(負担金)とよぶ。
これは使用者側にとつては負担そのものであり、
この高い拠出金が競争力の足かせになっていると考えている。

そのため、この使用者側のチャージ軽減のために
国は300億ユーロを出している。

しかし、現在、この予算(疾病金庫か?)を我々が決めることはできない。
国家が権限を強めており、結果と市国に決定権がある。

フランスはEU加盟国であり、
EUの取り決めは絶対に守らなければならない。
1996年のジュップランにより国家の権限が強められた。

EUからのプレッシャーがどんどん降りてくるために
我々は必死になってそれに合わせている・・・という現状だ。

でも、何を守らなければならないのか、
とにかくこの制度を崩壊させないこと。
我々はいま必死になって、ぎりぎりの状態だ。
そして、守るべき理念は
「ミニマム(最低限)ではなくも必要なものに、必要なだけ」だ。

・・・・・・・・うーん、悲壮感が漂うような決意を感じましたね。

行く、フランスではリベラル経済派(右派系、日本でいう新自由主義か)の声が大きくなっている。

「沢山だした人には沢山つかわせろ」
・・でもこれは「自由保険」の考え方だ。

今、フランスはサルコジ政権なので、
このままこうした考え方が進んでいくと、
医療保険の金融商品化となり、
疾病保険の二階建部分(民間保険を中心としてた補足的な保険)の比重が大きくなっていくだろう。

年金改革が先月に終わった。
次に国がやって来るのは医療改革だ。
しかし、今回の年金改革で国は疲れきっているので、
2012年の大統領選挙後にあると思う。

私たちは「基本理念」を死守する。

今、フランスはアメリカに近づこうとしている。
一方、アメリカ・オバマ政権はフランスの医療保障に近づけようとしている。
私たちはアメリカがダメだといってるいのではなく、
リベラル経済主義を否定する。

疾病金庫には35の議席があり、
そのうち13が労働者、13が使用者、9が二階建て部分や専門医やNPO代表となっていて、
以前は多数決ですべてを決定していた。
しかし、2004年、パリタリズムは骨抜きとなった。
(一昨日の疾病金庫のガブリエルさんは崩壊と表現した)
この35人の議員の中に国家代表はいないのに
決定権は国にあり、我々は話し合いはするが決定権を持たない。

フランスでは現在、800万人が二階建て部分に入っていない。
(フランス人口は6200万人なので、計算すると13%。フランスの貧困率とぴったりとあう)
フランスではいま、富裕層は健康であり、貧困層が不健康という傾向となっており、
収入の多寡で受けれる医療が変わってきている。

フランスでは国民一人一人が「ビタルカード」を持っているが、
このカードにより、オンライン請求は毎日行われ、
だいたい5日後に口座に償還される。
(フランスではいったん医療窓口で全額払い、その後7割が償還される)
窓口での支払い方は、現金、クレジットカード、小切手などだが、
小切手が多く、これなら決済されるまでに口座に7割がもどっている状況となる。

償還払いでなく、現物支給となったら、
自由選択のかかりつけ医制に規制がはいるのではないか、と考える。


・・・・・・・・・・・・・

一昨日の疾病金庫でのレクチャーの内容とかなり重なり、理解が深まりました。
労働組合の高い理念、が
サルコジ政権と新自由主義経済への傾倒の中でも
フランスの社会保障制度を死守しているのだと、
かなり悲壮感もただようレクチャーでもありました。





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プロフィール

crecre

Author:crecre
大阪の社会保障のことなら何でもまかせて・・・といえるようになりたいと日々勉強勉強
大好きなものは・・・
着物、旅行、露天風呂、読書、映画、足つぼマッサージ、料理(なんでも作ります。特にパスタははっきりいって、そのへんのイタリアンには負けませんし、時間さえあればピザも生地から、餃子も皮からつくります。煮物も大得意です。最近パンも焼いています)
大好きな人たちとの楽しいおしゃべり+美味しいお料理。
表計算ソフトのエクセル・統計が大好きです。
大切なものは・・・もちろん2人の息子、そして三匹のにゃんず。
性格は・・・非常に前向き、後ろは殆ど振り向きません。

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